十勝三股 (とかちみつまた) と帯広をむすんだ。
士幌線 清水谷(しみずだに)
清水谷には駅舎があった。
下車したことはない。
駅舎まえの風景は、
おぼろげな記憶である。
汽車通学していると、
他校の生徒と顔をあわせる。
士幌線上り1番列車は糠平始発帯広行。
上士幌で一群が乗車。
つづいて士幌でまた一群が乗る。
列車の編成は6両であったとおもう。
上士幌からの2両と士幌で4両が連結。
柿色にうすだいだい色の国鉄在来線色のディーゼル車と、
うすだいだい色に赤の急行車両がつらなって、
ありし日の急行大平原を彷彿とさせた。
で、わたくしは士幌から乗る。
朝は学年や学校単位でつるむ傾向がある。
が、
その生徒は学生服をきて、
いつもひとりで本をよんでいた。
かれがかよう高等学校は、
みなりに制限がなかった。
学生服はむしろ少数ではなかったか。
のち、
かれからこんなはなしをきいた。
清水谷からかよっていること。
参考書とにらめっこしていること。
北海道大学をめざしていること。
将来は官吏のみちにすすみたいこと。
学生服のほうがきままであること。
なるほど、
毎日のみなりに気をくばらなければならないのは、
めんどうである。
学生服もありがたい面があるものか。
なるほど。
納得した記憶がある。
そののち、
かれは北海道大学に進学したはずである。