おさないころ猫をかっていた。
母猫をかっていても、
そのまま放置しておくと、
子猫たちは、
シャアシャアと警戒する。
それでも、
くびねっこをつかまえて、
うでにかかえると、
かわいい子猫にもどる。
家のまえの舗装道路は国道である。
いまほどの往来はないにせよ、
国道ゆえ大型車がとおる。
わたくしがその国道のむこうがわへ横断した。
そのとき、
ふりむくとあざやかな赤い液体がちっていた。
子猫が車にひかれた。
母親はつたえる。
わたくしのすがたを追ってついてきたという。
ちかよると、
歯がむきだしの遺体はむざんであった。
が、
鮮血。
きれいな赤であった。
なきがらは母親の手で。
いとしくて、
いとしくて、
かなしくて、
かなしくて、
詫びのきもちもいっしょくた。
家にかえってなきぬれた。
ラベル:子猫