なぜ記憶は薄れるのか。
8月になると太平洋戦争のドキュメントであふれる。
80年経たから記憶は薄れるのだろうか。
なぜ記憶は薄れなければならないのか。
見たモノだからである。
ではなぜ、
あのときその場にいた人たちの記憶が鮮明たるか。
かれらはそのとき、
見、
聞き、
そのときの匂いを嗅ぎ、
そのときの風に触れ、
そのときの苦さを知るからである。
見たくもない画をみせられる。
聞きたくもない音を聞かせてられる。
嗅ぎたくもない匂いになす術をしらない。
灼熱に肌をさらす。
無味に汗の塩をたしかめる。
五感にとどまらない経験をする。
記憶は薄れない。
ゆえに、
記憶を継ぐことは至難である。
戦争を語る。
いったこともないくせに。
思考は停止せざるを得ない。

